JR東日本(本社:東京都渋谷区)は2025年6月10日、信号通信設備の故障発生から復旧までを支援するシステムに生成AIを導入する計画を発表した。現地設備の故障時対応を支援する既存システムに生成AIを適用するもの。2025年度第3四半期以降に導入する。続いて、運行管理システムの故障時に故障箇所を生成AIで特定する実証試験を2025年9月に開始する。
JR東日本は、信号通信設備の故障発生から復旧までを支援するシステムに生成AIを導入する。
2段階の計画を発表している。まず、現地設備の故障時対応を支援する既存システムに生成AIを適用し、2025年度第3四半期以降に導入する。システムはBIPROGYと共同で開発する。続いて、運行管理システムの故障時に、故障箇所を生成AIで特定する実証試験を2025年9月に日立製作所と共同で開始する(図1)。

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(1)復旧作業システムへの生成AI導入
現地設備に関する取り組みとしては、2023年3月から首都圏の在来線信号設備の一部において、故障発生時に指令員の判断を支援するAIを活用したシステムを導入済み。今回の計画では、生成AIを適用して同システムを改良する。
既存のシステムは、マシンラーニング(機械学習)の学習に必要な作業量が多く、大量の教師データが必要になる課題があるという。今回、生成AIを用いることで、システムの適用範囲を比較的容易に広げられるようにする(図2)。

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生成AIの適用で、できることが増える。データベースに保管した過去の故障復旧情報やマニュアル情報を参照し、復旧に必要な作業、故障原因、対策手順のレコメンド情報を生成可能になる。復旧見込み時刻の推定も可能である。また、復旧作業時に指令所と現場が無線機で通話している音声無線通話を文字化・要約し、自動的に作業経過を作成するようにする。
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